とある企業様から、私たちのもとに一件のご相談が寄せられました。「窓のない応接室の閉鎖的な雰囲気がぬぐえないのです」と。長年、その重苦しい雰囲気をどうにかしたいと、様々な方法を試みられてきたのかもしれません。そんな状況を打開すべく、お客様がたどり着いたのが、私たち浅倉紙業の和紙アートパネルでした。
本ブログ記事では、お客様の課題を解決した、オーダーメイドの和紙アートパネルの制作事例を、商品の詳細写真と共にご紹介します。さらに記事の後半では、なぜ今オフィスにアートが求められるのか、その深い意義と効果についても解説します。同じように閉塞感のあるオフィス空間でお悩みの方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

和紙アートパネル制作事例紹介「優美な流線と静謐(せいひつ)な五彩箔」
今回のご依頼品は、弊社オンラインショップで販売している既製品「輝-Kagayaki」を、応接室の壁面サイズに合わせてサイズアップし、デザインを調整したオーダーメイド品です。お客様からは「窓のない応接室の閉鎖的な雰囲気をどうにかしたい」というお悩みとともに、以下のご要望をいただきました。
- 既存の絵画と調和するもの
- 空間に奥行きを感じさせるもの
- 柔らかな雰囲気を演出するもの
さらに、お客様から事前に設置予定位置とパネルサイズに合わせてマスキングテープを貼ったお写真を共有いただけたことで、空間イメージやサイズ感を把握することができました。弊社では以前、新聞紙などをカットしてサイズ感を事前に確認する方法もご紹介しましたが、どちらも事前に試せるため、ご検討中の方はぜひやりやすい方法で試してみてください。
弊社のオーダーパネルは、1センチ単位でサイズ指定が可能で、厚みも20mm、30mmなどお選びいただけます。
また、白地ベースのパネルには、防汚効果のあるガラスコーティングもご提案させていただきました。お客様との情報交換を重ね、空間に調和し、理想を叶える和紙アートパネルの制作にとりかかりました。
優美な流線と静謐(せいひつ)な五彩箔の和紙アートパネル
こちらが、今回お客様にご依頼いただいた和紙アートパネルの全体写真です。細身の横長フォルムに、金ラインの優美な流線と、光の当たり方によって表情を変える五彩箔が特徴的な作品です。「静謐(せいひつ)」とは、静かで落ち着いた雰囲気を表す言葉です。その言葉通り、静かに、しかし確かな存在感を放つその姿は、空間に落ち着きと上質さを与えます。

今回の素地には麻100%の和紙を使用しています。麻和紙は自然な艶感のある麻繊維が漉き込まれ、荒々しくもあり、優しい表情も見せてくれます。弊社では、その時々で異なる表情をみせる和紙と向き合い、対話することで生まれる着想を大切に、一工程ずつ丁寧に制作しています。
装飾を施した和紙を、弊社では創作デザイン和紙と呼んでいます。全て手描き・手染めのオリジナル品で、今回の作品も、まず和紙単体で仕上げ、パネルに仮止めした写真をご確認後、パネル貼り加工を行っています。


ガラスコーティングで防汚・撥水効果を付与
仕上げには、ガラスコーティングをパネルに施し、防汚・撥水効果を付与しました。このガラスコーティングは、表面に塗膜を形成するのではなく、ミクロ繊維の一本一本に強固なガラス被膜を形成するタイプのものです。そのため、素材本来の風合い、柔軟性、通気性を損なうことなく、半永久的に効果が持続します。若干ですが、摩擦に対する耐久性も向上し、擦っても毛羽立ちが起きにくくなります。
下記の写真は、仕上がり確認のため実際に水を落とした様子です。玉状に水滴が撥水されていることがわかります。和紙の柔軟性も損ねないため、アートパネルだけでなく、タペストリーや照明など、柔軟性が求められる製品にも加工が可能です。難点があるとすれば、パネルの貼り換え加工の際に少し手間がかかることと、コーティング後には基本的に接着ができないことです。加工方法にも一長一短があるので、ご要望に合わせた方法をご提案しています。

設置について
壁面への取り付けは、写真のネジを使用し、取り付け済みの直吊り金具(左右2箇所)に引っ掛けて行います。紐やワイヤーを使わずに壁に直接取り付けるため、紐吊りと違って取り付け位置がずれることなく、壁にぴったりと設置できます。取り付けに際しては壁の強度も考慮する必要があるため、特に大型パネルの場合は工務店や大工、内装業者などの専門業者へのご依頼をおすすめしています。
アートパネルの商品タイプ・サイズ、ご要望などにより、金具の形状や取り付け方法を変更する場合がございます。
より安定した設置をご希望の場合は、壁面への設置難易度は上がりますが、ドッコ金具(壁とパネル両方にプレート状の金具を取り付け、引っ掛ける方式)を使用する場合もあります。この場合は、パネルごとに最適な長さや位置があるため、サイズや重量に合わせて別途お見積りとなります。

完成した和紙アートパネルをお届けし、実際にご覧になったお客様から「本当に素敵な仕上がりで、弊社の応接室と相性が良く、上品で柔らかな雰囲気をプラスできそうです。色合いも明るいものにして良かったです」という、ありがたいお言葉をいただきました。
和紙アートパネルは、光の取り込みにくい空間にこそ、その効果を発揮します。自然光の代わりに、和紙の風合いを生かした柔らかな陰影が空間を満たし、心地よい安らぎをもたらします。また、見る人の心を落ち着かせ、穏やかな気持ちへと導く効果も期待できます。
今回、お客様にお届けした和紙アートパネルが、訪れるお客様の心を和ませ、商談や打ち合わせが円滑に進むような、心地よい空間づくりに貢献することを願っております。
オフィスにおけるアートの重要性
現代のオフィスにアートが求められる背景
近年、働き方改革や多様な価値観の浸透により、オフィスに求められる役割は大きく変化しています。従来の業務効率を追求するだけの空間から、従業員の創造性や幸福度を高める空間へとシフトしているのです。特に、長時間過ごすオフィス環境は、従業員の心身に大きな影響を与えるため、快適で心地よい空間づくりが重要視されています。また、企業の顔とも言える応接室は、来訪者に与える印象を左右する重要な空間です。企業の理念や価値観を表現し、信頼感や安心感を与える空間づくりが求められています。このような背景から、アートはオフィス環境、特に応接室を改善する有効な手段として注目されています。

アートがもたらす具体的な効果
オフィス、特に応接室にアートを取り入れることで、以下のような効果が期待できます。
- 創造性向上
アートは、その場にいる人々の感性を刺激し、固定概念にとらわれない自由な発想を促します。応接室においては、飾られたアートが商談や会議において、新たなアイデアや視点をもたらすきっかけとなります。 - ストレス軽減
美しいアート作品は、空間に心地よい癒し効果をもたらし、ストレスを軽減します。特に、初対面のお客様との商談では、導入部でお相手の緊張を和らげることにより、より良いコミュニケーションを育むことが可能になります。 - 企業イメージ向上
洗練されたアート作品は、企業の美的センスや文化レベルの高さをアピールし、企業イメージ向上に貢献します。応接室は企業の顔であるため、アートを通して企業の価値観や個性を来訪者に伝えることができます。 - コミュニケーション促進
アート作品は、空間に集う人々の会話のきっかけとなり、コミュニケーションを活性化します。特に、初対面のお客様との間には、会話の糸口としてアートが役立ちます。 - 信頼感と安心感の醸成
応接室にアートを飾ることで、訪れるお客様に信頼感と安心感を与えることができます。アートを通して企業の理念や価値観を表現することで、信頼関係を築きやすくなります。 - 空間の質向上
快適なオフィス環境は、そこで働く人々の満足度を高め、モチベーション向上につながります。応接室を含むオフィス全体にアートを取り入れることで、空間の質を高める効果が期待できます。

オフィスにアートを取り入れる際のポイント
オフィスにアートを取り入れる際は、以下のポイントを踏まえると、計画がスムーズに進みます。アートは空間の引き立て役となるだけでなく、空間イメージを牽引し、場所全体を作品に変える力を持っています。
- オフィスのコンセプトを明確にする
オフィスのテーマや求めている雰囲気はどんなものでしょうか。希望するイメージや、ジャンル・テイストを明確にすることで、理想の作品を見つけやすくなります。 - 従業員の意見を取り入れる
お客様と接する機会が多い従業員の意見を参考にすると、より満足度の高い空間を作ることができます。意見交換の場を設けるなど、積極的に従業員の声を取り入れましょう。 - 展示場所を基点に考える
展示場所に合わせて、作品の大きさや雰囲気を決めましょう。事前にマスキングテープや新聞紙などで展示場所のサイズを再現し、作品の大きさをシミュレーションしておくと、希望のサイズを決めやすくなります。 - 照明を工夫する
照明によって作品の見え方が大きく変わるため、照明計画もアート展示の重要な要素です。作品の種類や雰囲気に合わせて、スポットライトや間接照明などを効果的に活用しましょう。 - 定期的に作品を入れ替える
定期的に作品を入れ替えることで、従業員の気分転換になり、オフィスに常に新鮮な雰囲気をもたらすことができます。季節やイベントに合わせて作品を変えるのもおすすめです。

コーポレートメッセージ『水と生きる』を体現したデザインです。
弊社の和紙を使った癒し効果に関する研究
和紙を見たり触れたりすると、なんとなくほっと落ち着く気持ちになる。それは、決して気のせいではありません。和紙には「1/fゆらぎ」に代表されるように、素材自体が持つ癒し効果があります。弊社では、和紙と癒しの関係性を科学的に解明するため、3年間にわたる研究を専門機関と共同で行ってきました。

色彩濃度別和紙パネルによる心理効果検証サンプル

加飾デザインによる心理効果検証サンプル
実験では、和紙素材の評価、色合いの印象の検証、技法・デザインごとの印象分析など、多岐にわたる調査を実施しました。その結果、和紙自体が持つ癒し効果はもちろんのこと、色合い・技法・デザインを組み合わせることで、より幅広い心理的効果を創出できることが明らかになりました。

空間によって求められるものは異なります。感覚に頼るだけでなく、お客様の空間や目的に合わせた和紙アートのご提案が可能です。癒し効果を高める素材の選定、色合いの調整、デザインの提案など、専門的な知識と経験でお客様の理想を形にします。
和紙の癒し効果の研究について詳しくは、ぜひ弊社コラム記事「癒しの和紙アートパネル」をご覧ください。
閉塞感を解消し、心地よい空間へ
今回の記事では、窓のない応接室に和紙アートパネルを導入した事例をご紹介しました。和紙アートは、単に空間を彩るだけでなく、そこに集う人々の心にも変化をもたらします。オフィス空間を変えるとなると、壁紙や床材の変更など大掛かりな工事が必要と思われがちですが、アートを導入するだけでも空間の印象は大きく変わります。この手軽さこそが、和紙アートの魅力の一つです。
和紙アートパネルについてさらに詳しく知りたい方や、導入をご検討されている方は、ぜひ和紙アートパネル専用ページもご覧ください。また、弊社オンラインショップでは、和紙アートポスターや既製の和紙アートパネルのほか、ショップ内のお好みの和紙をパネル加工して納品するサービスも行っております。
石川県金沢市にある弊社のショップ兼ショールームでは、実際に和紙アートの素材となる創作デザイン和紙や、染色和紙などを手に取ってご覧いただけます。ご購入も可能ですので、ぜひお気軽にお越しください。
弊社について
弊社では、和紙や染色加飾和紙をはじめ、ご自宅、ホテル、旅館、店舗、オフィスなど様々な空間に合わせた和紙アートパネル・インテリアの企画制作をしております。「何か飾りたいけど、どんなものが合うかわからない…」という場合でもご安心ください。飾る場所の写真などをメールでお送りいただけましたら、無料でご提案・お見積りさせていただきます。商品に関してのご質問などがございましたら、お気軽にお問合せください。
実店舗
石川県金沢市にある「紙あさくら」では、素地の和紙からデザインされたものまで、豊富な種類の和紙を取り揃えております。事前のご予約は不要です。お気軽にご来店ください。和紙は1枚から販売しており、素材感の確認や製品に関するご質問も承っております。店舗の様子は、こちらのブログ記事をご覧ください。


インテリア 和紙アートパネル : よくあるご質問(FAQ)
- 納期はどれくらいですか?
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- オーダーメイド品
仕様や数量によって異なりますが、制作開始から約2~3週間です。お急ぎの場合や、ご希望のお届け日がある場合には事前にご相談ください。可能な限り調整いたします。 - セミオーダー品
オンラインショップ「Washiあさくら」のアートパネル加工サービスでは、ショップ内のお好きな和紙をアートパネルに加工してお届けします。納期は制作開始から約1週間です。お急ぎの場合は、ご注文時にお知らせください。
- オーダーメイド品
- 主な制作の流れを教えて下さい。
-
制作のお問い合わせをいただいてから、完成に至るまでの大まかな流れは下記の通りです。
- お問合せ
アートパネルの仕様やデザインについて、ご質問やご要望、ご心配なこと、概算見積り、納期など、どんなことでもお気軽にご相談ください。 - 打ち合わせ・仮ご提案
可能であれば、設置をお考えの空間・壁面が分かる写真を1~2点お送りください。
ご要望をお伺いしながら、打ち合わせ・仮ご提案を行います。
※仮ご提案では、ラフプラン(大まかなデザインのイメージや方向性のご提案)のみとなります。 - お見積もり・ご入金
仕様が決まりましたら正式なお見積もりをお知らせします。
内容にご納得いただけましたらご入金をお願いします。
※ご入金前にキャンセルとなっても、お客様に費用のご負担はありません。 - 制作開始・ご提案
ご入金確認後、正式なデザインのご提案を行います。
仕様決定後に制作を進め、途中経過をメール等でお知らせします。 - 完成・納品(発送)
完成後、写真をメールでお送りします。
ご確認いただいてから梱包し、発送(もしくは店頭お渡し)します。
アフターサービス
末長くお使いいただけるようにサポートいたします。
メンテナンスなどの日頃のお手入れについてご説明・ご案内しております。パネル本体を活かして新しいデザイン和紙の張替や修理なども承っておりますので、何かお困りことがございましたら、お気軽にご相談ください。
※他社の和紙製品については対応しかねますので、予めご了承ください。自社サイトではシーンイメージや制作事例、ご依頼から納品までの流れを載せています。
※詳しくはこちらをご覧ください。 - お問合せ
- 費用はいくら位かかりますか?
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お客様のご要望を形にするオーダーメイド品に加えて、セミオーダー品、完成品の3種類をご用意しております。
- オーダーメイド品
サイズやデザイン仕様によって価格は異なりますが、目安として50,000円~/点(税抜)をお考え頂ければと存じます。概算費用には「和紙代」「加工代」「パネル代」が含まれておりますが、送料は別途必要です。
※店頭お受け取りの場合は、送料無料です。 - セミオーダー品
オンラインショップでご注文が可能です。パネルサイズは長方形(910mm×280mm)(280mm角と600mm×280mm 2枚セット)、角型(280mm×280mm 3枚セット)の3種類からお選びいただけます。ショップ内の和紙と組み合わせていただくと、約16,000円~/点(税抜)で制作できます。一定額以上のご購入で送料無料です。
・セミオーダーアートパネルについて - 完成品
オンラインショップでご注文が可能です。
価格は約20,000円~/点(税抜)から取り揃えております。
一定額以上のご購入で送料無料です。
・完成品アートパネル一覧
- オーダーメイド品
- オーダー前に色合いや紙質などを確認することはできますか?
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色合いの確認をご希望されるお客様には、参考写真をメールなどでお送りさせていただきます。また、有料(3,000円~)でご希望の色に染めたサンプルの制作もご用意可能です。紙質については一部和紙となっておりますが、無料サンプルもお送りできます。その他何かご要望がございましたら、お気軽にお知らせください。
- アートパネルの飾り方を教えてください。
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パネル重量に対して、耐荷重に余裕のある金具をお選びください。 軽量のものでしたら市販のピン(ダルマピン)を2個使用してお飾りいただけます。ピクチャーレールがある場合は、対応するワイヤーフックをお使いいただくと壁に穴をあけずに設置できます。
取付け方法や壁面の強度によっては、実際の耐荷重がメーカー公表の耐荷重より低くなる可能性もございます。耐荷重が大きすぎて問題になることはございませんので、数値に余裕のあるものをお使いいただくと安心です。
- 海外発送は出来ますか?
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はい、可能です。EMS(国際スピード郵便)をはじめとする方法で、海外へオリジナル和紙商品の発送をおこなっております。ただし、宛先国・地域により発送可能サイズや最長辺に上限が御座います。規格外サイズの場合は、代替えの配送業者にて対応可能な場合もございますのでご相談ください。
- お支払方法について教えて下さい。
-
現金支払、銀行振込、クレジットカード決済、コンビニ決済、翌月後払い、PayPal、ドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い、楽天ペイ、PayPay残高、Amazon Payからお選び頂けます。
- 制作事例を見ることはできますか?
-
はい、弊社の公式サイト内にある専用ページで一例をご覧になれます。そのほか、当ブログの和紙アートパネルカテゴリーでもご紹介しております。
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