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石川県金沢市にある和紙専門店「紙あさくら」の公式ブログです。暮らしを彩る様々な和紙インテリアや制作事例などを発信しています。

誰でも簡単に出来る!フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法

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手漉き和紙のフチには耳(繊維がモサモサっと出ている感じ)がついていて、とてもきれいですよね。
この耳は和紙を漉いた時にフチ部分が薄く仕上がるもので、他の素材には無い和紙の魅力の一つでもあります。

ところで皆さんは和紙をカットする際、何を使っていますか?

カッターやハサミでカットされる方がほとんどではないでしょうか。
和紙は自然な温かみがあるので、今までのカット方法でも十分和紙の魅力が伝わります。
今回は、より和紙の魅力を引き出す「耳付に仕上げるカット方法」をお教えいたします。
やり方はとっても簡単。ご存知の方も改めてご覧頂けたら嬉しいです。

目次

はじめに

まず下記の比較写真をご覧ください。どちらも同じ楮(こうぞ)和紙ですが左側のものは綺麗にカットされていて、右側のものは和紙の繊維が出ていますね。

カッターで切った物と水切りした和紙の比較(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

左側の和紙はカッターでカットしたもの、右側の和紙はこれからお教えする「水切り」という方法でカットしたものです。水切りした物の方が遠くから見ても「和紙」って分かりやすいですよね。

というわけで早速カットしていきましょう。
まずは基本の直線水切りをしていきたいと思います。

用意するもの

  • 水(コップなどに入れて下さい)
  • 筆(細筆が理想的ですが、太筆でもOKです)
  • ヘラ(無い場合は、先がとがっていない棒状の物)
  • 定規
  • カットしたい和紙

水切りのやり方

Step1:ヘラでスジをつける

先が尖っていないヘラのようなもので行うと綺麗に出来ます(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

まずカットする部分に定規を置いて、ヘラで和紙にスジをつけていきます。
このスジの付け方が水切りの良し悪しを決めるので、ブログ下段の「Q&A」等をご覧頂きながら行ってみてください。ポイントとしては傷をつけるのでは無く、押し跡をつける感覚です。

ヘラでスジがきれいにつきました(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

このようにスジがつきました。よく見て分かる程のうっすらとしたものです。

Step2:つけたスジに筆を使って水をしみ込ませる

スジにそって水を付けた筆でなぞっていきます(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)
スジに水が浸透しているのが分かります(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

スジにそって水をつけた筆でスジをなぞっていきます。
最初につけたスジに水が染み込みやすくなっていてライン状に濃く出ています。

Step3:スジにそって、ゆっくりとちぎっていく

ゆっくりと手切りしていきます(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

もしうまくちぎれない場合は、定規を置いてちぎるとガタガタになりにくいです。

綺麗な和紙の毛羽立ちが出ました(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

綺麗に切れました。

Step4:仕上げに毛先を整える

紙の種類によって毛羽立ちの出方は異なります(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)
紙の種類によって毛羽立ちの出方は異なります。

カット後に和紙の細かい毛羽立ちを指先で整えて自然乾燥させると、とてもきれいに仕上がります。

番外編

円形に水切りしたもの(フチ取りを耳付和紙のように仕上げるカット方法)

直線が切れるという事は、型さえあれば上記写真のような円形のものを作る事も可能です。
厚紙や硬質シートをベースに、コンパスを使って線を書き、ハサミで切ると型が出来上がります。是非いろんな形を試してみてください。

Q&A

どれくらいの強さでスジを付ければいいのですか?

和紙には様々な種類や厚さがあるので一概には言えませんが、

  • 薄手の和紙の場合:まずは弱めにスジを付けて下さい。
    強くしすぎるとそれだけで和紙が切れてしまう場合があります。
  • 厚手の和紙の場合:強めにスジをつけてもOKです。
    ただし極端に強すぎると繊維が切れてしまって綺麗に出てきません。
    逆に弱すぎるとちぎるのに一苦労します。

いずれの場合も一度目立たない所で水切りを試してみて、一番きれいに毛羽立ちが出る強さを見つけてみてください。

水切りしたところがガタガタになってしまいました。

ヘラで押し跡をつける強さが弱い事が考えられます。
もう少し強めに跡をつけてみてください。
適度な強さで押し跡がつけられれば、まっすぐ綺麗に水切りが出来ます。

なぜ水を付けると綺麗にちぎれるのですか?

元々和紙の繊維は親水性のセルロース繊維から出来ています。
繊維同士の結合が水の分子によってほどけやすくなり、つけたスジがガイドの役割となり綺麗にちぎれるのです。
スジを付けないで行うと、繊維同士の結合が弱い部分の方が破れやすいため、水を付けても思い通りにちぎれなかったりします。

ちぎれやすい方向、ちぎれにくい方向があるのはなぜですか?

そこに気付いた方は凄いです!これを「紙の目」と言います。
殆どの紙製品には縦目と横目があり、和紙も例外ではありません(一部を除く)。

身近な新聞紙を用意して、縦と横で裂いてみてください。
不思議な事にまっすぐ切れる方向と上手く切れない方向がありますよね。

紙の繊維が製造の過程で一定の方向に揃っている為、縦横でちぎれやすい、ちぎれにくいが出てくるのです。

何度やっても上手く毛羽立ちが出ないのですが。

水切りをしてみたのに、毛羽立ちが出てこなくてカッターで切ったような感じできれてしまったという場合、原因として考えられるのは…

  • ヘラでスジを強くつけすぎている:もう少し弱めにスジをつけてみてください。
  • スジをつける物の先端が尖っている:和紙の表面に傷をつけてしまうとうまく毛羽立ちが出ずに切れてしまいます。先のとがっていないもので行ってください。傷をつけるのではなく、押し跡をつけてあげる感覚です。
    いずれの場合も出てくるはずの繊維まで切れてしまうので、毛羽立ちがうまく出てきません。
  • 和紙原料の問題:和紙の原料の種類によって繊維の長さが違う為、思ったように出てこない場合があります。
    楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の主な和紙原料の中で、一番繊維の長い楮がより繊維が出やすくなります。

また原料を混合して作られている和紙もあるので、和紙を購入されるお店でご相談して頂ければ丁寧に教えて頂けると思います。

皆さん、うまく水切りは出来ましたでしょうか。
おこなってみて、もし分かりにくい部分がありましたらお気軽にお問合せ下さい。
今後も和紙に関して「こんな事教えて」という声がありましたらブログでアップしていきます。
また見て下さいね。

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