和紙製の仏花「ミニ胡蝶蘭 花器付き 全3色」に続き、新たに「凛音-Rinne 花器無し 全3色」をオンラインショップ「Washiあさくら」にてリリースいたしました。
今回は私たちが「仏花」づくりに挑んだ経緯や、和紙製仏花の特徴、その制作風景などをご紹介します。
暮らしの中に「祈りの場」があるということ
平凡に見える毎日の中にも、様々な喜びや哀しみ、思わず手を合わせたくなるような出来事や場面に、必ず出くわすものです。
そんな時、そっと祈りを捧げられる場所が暮らしの中にあって欲しい。それはお仏壇かもしれないし、神棚かもしれない。もしくは、貴方だけにわかる“祭壇”のような、小さな一角かもしれません。
どんな形であれ、衣食住の生活要件を満たすだけでない「祈りの場」が住まいにあるということは、日々を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
「花」はそんな祈りの場を象徴するアイテムの一つです。日々の感謝や祈りを絶やさないように、花もまたそこで常に美しく咲いていて欲しいもの。
和紙でつくる「仏花」への挑戦
かれこれ20年以上、和紙の花をつくり続けている私たちですが、これまで「仏花」というテーマで制作したことはありませんでした。しかしある時、お客様からのこんな声を耳にしたのです。
「仏壇の花を枯らさないように常に管理するのは大変。でも造花は、いかにも“偽物”という感じがして嫌だ」と。けれど、同時に「その花が和紙でつくられていたなら、不思議と後ろめたさを感じない」そうおっしゃるのです。
確かに、日本人にとって和紙は古来から特別な存在です。様々な神事仏事の場でも用いられ、いち素材に留まらぬ意味合いが、そこには含まれています。和紙ならば、そして、長年和紙と向き合ってきた私たちならば、神聖な場にも相応しい「和紙の花」をつくりあげられるのではないか。
そこで、様々な「祈りの場」を想定した「和紙の仏花」づくりに挑戦することになりました。
時を経ても色褪せぬ、鮮やかさ
生花に代わる、長期間飾れる「仏花」を念頭に制作するにあたり、まず染料からこだわりました。通常、私たちが花を作るときは「直接染料」を用います。直接染料は色作りの幅も広く染めやすいのですが、退色しやすいという弱点も持ち合わせています。そこで、今回「顔料」を用いることにしました。
顔料は直接染料に比べて、繊細なグラデーションが難しい一方、耐光性に優れています。鮮やかな色彩が好まれる仏花においては、顔料の「長期間変わらぬ発色」が適しているのではないかと考えました。これも、和紙の染色から自社で行なっている私達だからこその選択肢だと言えます。
花びら一枚一枚に、心を込めて
「紙で花を作る」となると、通常はのっぺりと平面的な仕上がりになりがちです。
しかし和紙なら、揉み込むことで柔らかな表情や、生き生きとしたハリのある表情など、両極端な表現も内包することができます。そして、花びら一枚一枚を手づくりで制作・構成することで、咲き誇る花々を立体的に再現することができます。
また、花弁の繊細なグラデーションはボカシの彩色で、花の中心部は手書きによる点描でひとつひとつ忠実に再現していきます。
和紙ならではの “生命感”
また、一般的な洋紙とは異なり、繊維が長い和紙には、独特の「透け感」や「揺らぎ」があります。こちらが少し手をかけるだけで、絶妙な表情で返してくれる。そのニュアンスある質感が、生花とはまた違った、新たな“生命感”を感じさせます。
それが、和紙製の花に「偽物感がない」とおっしゃる所以なのではないかと思うのです。私たちもひとつひとつの花にいのちを吹き込むような想いで、制作に取り組んでいます。
花びらの構成には、いつも神経を使います。ただ切り抜いた和紙を束ねるだけでは「花」として見えません。一枚一枚に、微妙な丸みやカーブを与えながら組んでゆく。実物の花を注意深く観察し「その花らしさ」がどの要素に現れているのか、バランスを見ながら細やかに調整していきます。
和紙だからこそ、メンテナンスも楽々
和紙でつくられた仏花は、その扱いもとても手軽です。静電気を発生させない和紙は、埃を吸着しにくく、造花にありがちな「すぐにホコリが溜まる」といった現象が起こりません。実際、私たちの事務所で長い間飾っている和紙製の花も、全く手入れをせずとも綺麗な姿を保ってくれています。
大切な日の贈り物やお供えとしても
また、和紙は軽くて丈夫な為、贈り物としても最適です。生花は相手先の受け取りのタイミングに気を遣いますし、長期保存が可能なプリザーブドフラワーも、その繊細さゆえ発送手段に思案してしまいます。
和紙の仏花なら、直接現地に伺えないシーンでも、あなたの気持ちを花に添えて届けることができます。
様々な暮らしのシーンに寄り添って
昔ながらのお仏壇はもちろん、現代の暮らしに合わせたシンプルなお仏壇や、モダンな洋室の一角にも違和感なく溶け込んでくれる和紙の花。飾られる場の文脈によって、豪華にも、可愛らしくも振る舞える。その度量の広さも和紙ならではの魅力だと思うのです。
ご自宅や大切なあの人へ贈る、ひとつの「花」の選択肢として、ぜひお見知り置きいただけたら幸いです。
【今回ご紹介した商品はこちら】
和紙のお供え花/ミニ胡蝶蘭 花器付き 全3色
和紙のお供え花/凛音-Rinne 花器無し 全3色
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コメント
コメント一覧 (2件)
お邪魔します。
最近の造花は、本物と間違えるくらい精密に出来ていますね。
また御社の造花は和紙で出来ていてとても綺麗で繊細なイメージがします。
私は花市場に勤務しておりますが、本物よりお高いもビックリですが
それだけ高価な和紙と技術ですね。
これからも、日本の技術と日本の物造りを発信してください。
応援しております。
やよいさま、嬉しいコメントありがとうございます。お花のプロからコメントを頂けて、とても励みになりました!
今までにない機能や魅力をもった仏花にしたいと、開発を続けてきました。かなり時間はかかりましたが、その甲斐もあり自信をもって送り出せるお花に仕上がりました。
はい!これからも和紙の新たな可能性を提案していきます。