自宅をすっきりとノイズのない状態に整えつつ、どこか温かみや癒しを感じられる空間にしたい。そんな心地よい住環境を求める方々の間で、近年一つのスタンダードとして定着しつつあるのがヨーロッパ発祥のインテリアスタイル「ジャパンディ(Japandi)」です。
北欧のシンプルで機能的なデザインに日本の「侘び寂び」の精神を掛け合わせ、天然素材や有機的な「曲線」を取り入れた、穏やかで落ち着いた雰囲気が特徴です。
今回は、1897年創業の和紙専門店として国内外の空間に向けたアートを制作する立場から、ジャパンディ空間の視覚的な特徴と、心地よい空間をつくる和紙アートの選び方をご紹介します。

ジャパンディ空間を構成する「3つの視覚的要素」
はじめに、ジャパンディの空間づくりにおいて、押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。心地よい空間のベースとなるのは、以下の視覚的な要素です。

- アースカラーの基調
真っ白や原色ではなく、アイボリー、ベージュ、くすんだトーンなどの穏やかな色彩で空間全体をまとめます。

- 空間の余白
物をたくさん置くのではなく、あえて何もない「余白」を残すことを意識します。壁面や空間を飾りすぎないことで、視覚的なノイズが減り、ゆったりとした抜け感が生まれます。

- 自然素材のテクスチャー
木材や土、麻など、自然由来の素材を取り入れます。無機質ではない不規則な表面の質感が加わることで、直線的な空間に静かな温もりが添えられます。
現代の住空間において、物を減らしてすっきりとした「余白」を作ることは大切ですが、ただそれだけでは、どこか物足りなさや無機質な印象になってしまうことがあります。
そこに「アースカラー」と「自然素材のテクスチャー」を同時に補い、空間に調和をもたらす選択肢の一つが「和紙」です。和紙特有の質感を余白に添えることで、室内の光を受けた際に微細な陰影が生まれ、ノイズを抑えた空間に柔らかな表情をもたらしてくれます。古くから日本にある和紙が、現代の新しい空間づくりにおいてこれほど理にかなった素材であることに私自身も改めて驚かされます。
世界共通の悩みから生まれた「ジャパンディ」
かつての住まいは木や土など自然素材の質感が身近にありましたが、現代の住宅はヨーロッパでも日本でも、均質な工業建材で構成されることが多くなっています。そのため、ただ物を減らしただけでは「無機質で物足りない」という悩みが世界共通で起きていました。この課題に対する1つの解決策として、すっきりとした空間を保ちながら自然素材の温もりを補う「ジャパンディ」というスタイルがヨーロッパで提唱され、定着したと考えられます。
【もっと詳しく知る】ジャパンディが世界で求められた3つの背景
- モダニズム建築による「空間の均質化と無機質化」
20世紀以降、世界中の建築やインテリアは「モダニズム(近代主義)」という流れにより、機能性や合理性が最優先されました。鉄、ガラス、コンクリート、そして大量生産された均質な建材が普及し、直線的で無駄のない空間が世界中のスタンダードになりました。しかし、その結果として世界中のデザイナーや住人が直面したのが「空間が機能的になった分、無機質で物足りないものになってしまった」という課題です。 - 「温かいミニマリズム(Warm Minimalism)」への渇望
無機質な空間に「装飾や物を足す(足し算)」のではなく、すっきりとした空間を保ったまま「自然素材の温もり」をどう補うか。この課題に対する最適解としてヨーロッパのデザイナーたちがたどり着いたのが、「北欧のヒュッゲ(居心地の良さ)」と「日本の侘び寂び(質素で静かな趣)」の融合でした。この2つの文化は、どちらも古くから「過度な装飾をせず、自然素材の質感や光と影を愛でる」という共通点を持っていたからです。 - 「バイオフィリック・デザイン」という現代の潮流
現代の空間デザインにおいて、人間は本能的に自然との繋がり(木や土の質感、有機的な曲線、光のゆらぎなど)を求めているという「バイオフィリック・デザイン」の考え方が世界的な主流になっています。ジャパンディは、まさにこの「現代の無機質な住環境に、自然の息吹を取り戻したい」という世界共通の悩みに対する、洗練されたアプローチとして2017年頃にヨーロッパで誕生しました。
理想の空間へと導く、和紙アートのアプローチ
現代の住空間は、機能性と快適さを追求した結果、すでに無駄のない理にかなった造りになっています。また、そこに使われる木材の木目などにより、空間には自然のゆらぎが存在しています。ジャパンディの空間づくりにおいては、この洗練されたベースに対し、あえて異なるアプローチとなる有機的な「曲線」をアクセントとして添えることで、空間に美しい対比(コントラスト)を生み出し、調和をさらに深める手法がとられます。
空間に曲線の要素を加えるアプローチには、アートパネルの「デザイン(絵柄や色の境界など)」で取り入れる方法と、アートパネル自体の「形状」で取り入れる方法があります。
決して「円形」でなければジャパンディにならないという決まりはありませんが、今回は空間に柔らかさを添える直感的なアプローチとして円形のフォルムを採用し、さらに色合いやデザインもジャパンディを意識して制作した和紙アートパネルの実例をご紹介します。
空間に柔らかさを添える「円形」のアートパネル
円形和紙アートパネル「層-Sou」
北欧のミニマリズムと和の素材が調和するジャパンディ空間に向けて制作した、円形のアートパネルです。くすんだピンクからブラウンへと連なるアースカラーの重なりが、遠くの山並みや地層といった自然の情景を思わせます。

上部の淡い2層には、厚手のもみ和紙に顔料を混ぜた独自の珪藻土を塗布した「珪藻土もみ和紙」を使用。最下部の濃い層には、風合いの異なる「麻和紙」を合わせています。和紙の繊維が絡み合う「ちぎり目(断面)」のディテールが、空間に有機的な表情を添えます。
※ベースとなる独自の「珪藻土和紙」開発の背景についてはこちら


パネル表面のダイナミックな凹凸は、上からスポットライトなどの間接照明を当てることで深い陰影を落とします。平面のパネルでありながら、時間帯や光の角度によって引き込まれるような奥行きと立体感が現れ、空間に静かながらも確かな存在感を放ちます。

円形和紙アートパネル「凪-Nagi」(3色展開)
立体的な陰影で魅せる「層-Sou」とは対照的に、フラットな面の中で「色彩と質感の対比」を表現したのが、アートパネル「凪-Nagi」です。

直線や鋭角を一切持たず、自然界に見られるような不規則でなめらかな「オーガニックカーブ(有機的な曲線)」のみで面を分割し、空間に静かに馴染むアースカラーを配しました。


染色はすべて顔料を用いており、色の濃い領域は光を柔らかく吸収するマットな仕上がりになっています。和紙特有の繊維の表情が見える面と、このマットな面が隣接することで、フラットな形状でありながら、確かな質感の違いを感じていただけます。
単体で空間に柔らかさを添えるのはもちろん、複数枚を並べて配置することで、角のない緩やかな色の境界線がお部屋に心地よいリズムを連続させます。
ポスター差し替えによる、既存フレームを活用したアプローチ
立体的なパネルを一点飾る手法とは異なり、ポスターを用いて壁面の広い面積でスタイルの世界観を構成するアプローチもあります。

すでにA2サイズなどのお手持ちの額装(フレーム)がある場合、中身のポスターを和紙アートポスターに差し替えるだけで、現在の部屋のベースを活かしながら空間の印象を変化させることが可能です。
インテリアスタイルはグラデーションのように繋がる
「ジャパンディ」や「和モダン」「クワイエット・ラグジュアリー」といったインテリアのスタイルは、明確な境界線で分断されているわけではありません。色と色がグラデーションで緩やかに変化していくように、対極にあるスタイルは異なりますが、隣り合うスタイル同士は親和性が高く、交じり合います。そのため、ここでご紹介した和紙アートも決して「ジャパンディ専用」ではなく、テイストの近い様々な空間に調和します。
最適な「4つの選択肢」。暮らしに合わせた取り入れ方
手入れも簡単で、長く愛せる和紙アート。
ご自身のペースや、空間へのこだわりに合わせて無理なく取り入れていただけるよう、当店では以下の4つのスタイルをご用意しています。
最後に
機能性と快適さを備えた無駄のない現代の住空間に対し、アースカラーや自然素材のテクスチャー、そして有機的な要素を添えることで、心地よい調和をもたらすジャパンディのスタイル。
空間の余白に和紙アートパネルの陰影やゆらぎを取り入れることは、ただ壁面を飾るだけでなく、室内の光を柔らかく受け止め、空間全体の緊張感を和らげることへと繋がります。古くから日本の住まいで光と影を調和させてきた和紙は、現代の新しい空間づくりにおいても、その特性を通して理にかなった役割を果たしてくれます。
今回ご紹介した和紙アートによるアプローチが、ジャパンディの要素を取り入れてみたい方はもちろん、「今の部屋に少し温もりや柔らかさを足したい」とお考えの方にとって一つのヒントになれば幸いです。
インテリア 和紙アートパネル : よくあるご質問(FAQ)
- 納期はどれくらいですか?
-
ご注文の種類によって異なります。
- オーダーメイド品
仕様や数量によって変わりますが、制作開始から約2~3週間が目安です。お急ぎの場合や、ご希望のお届け日がある方は、ご注文前にお気軽にご相談ください。可能な限り調整いたします。 - セミオーダー品
オンラインショップ「Washiあさくら」のアートパネル加工サービスでは、ショップ内のお好きな和紙をアートパネルに加工してお届けします。納期は制作開始から約1週間です。お急ぎの場合は、ご注文時にお知らせください。
- オーダーメイド品
- 費用はいくら位かかりますか?
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お客様のご要望に合わせて、3つのタイプをご用意しております。
- オーダーメイド品
サイズやデザインによって価格は異なりますが、1点約50,000円(税抜)~を目安にお考えください。費用には「和紙代」「加工代」「パネル代」が含まれますが、別途送料がかかります。(店頭お受け取りの場合は、送料無料です) - セミオーダー品
オンラインショップまたは実店舗でご注文が可能です。パネルサイズは、長方形(910mm×280mm)、2枚セット(280mm角と600mm×280mm)、角型3枚セット(280mm角)の3種類からお選びいただけます。ショップ内の和紙と組み合わせていただくと、1点あたり約18,200円(税抜)~で制作できます。一定額以上のご購入で送料無料です。(店頭お受け取りの場合は、送料無料です)
・壁面アートパネル加工サービスのご案内
- 完成品
オンラインショップでご注文が可能です。
価格は1点約20,000円(税抜)~取り揃えております。
一定額以上のご購入で送料無料となります。
・完成品アートパネル一覧はこちら
- オーダーメイド品
- オーダーメイドは、どのような流れで進みますか?
-
お問い合わせから完成までの、主な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ
デザインのご要望、サイズ、ご予算、納期など、どんなことでもお気軽にご相談ください。概算のお見積もりも可能です。 - 打ち合わせ・ラフプランのご提案
設置予定の壁や空間のお写真をお送りいただくと、より具体的なご提案が可能です。お話を伺いながら、デザインの方向性を決めていきます。
※ラフプランは、参考デザインのご提案や、大まかな方向性のご提案のみとなります。 - 本見積もり・ご入金
仕様が確定しましたら、正式なお見積もりをお知らせします。
内容にご納得いただけましたら、ご入金をお願いいたします。
※ご入金前の段階でキャンセルとなっても、費用は一切かかりませんのでご安心ください。 - 正式デザインのご提案・制作開始
ご入金確認後、正式なデザインをご提案いたします。
仕様決定後に制作を進め、途中経過を適宜メール等でお知らせいたします。 - 完成・納品(発送)
完成後、作品の写真をメールでお送りします。
ご確認いただいた後に梱包し、発送(もしくは店頭お渡し)いたします。
アフターサービス
末長くお使いいただけるよう、日頃のメンテナンスやお手入れ方法についてご案内しております。また、パネル本体を活かした新しいデザイン和紙への張り替えや修理なども承っておりますので、何かお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。
※他社製の和紙製品については対応いたしかねますので、予めご了承ください。自社サイトではシーンイメージや制作事例、ご依頼から納品までの流れを載せています。
※詳しくはこちらをご覧ください。 - お問い合わせ
- オーダー前に色合いや紙質などを確認することはできますか?
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色合いの確認をご希望のお客様には、参考写真をメール等でお送りしております。また、有料(3,000円~)でご希望の色に染めたサンプルの制作・郵送も承っております。紙質については、一部の和紙に限られますが無料サンプルをお送りすることも可能です。その他ご要望がございましたら、お気軽にお知らせください。
- アートパネルの飾り方を教えてください。
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パネルの重量に対して、耐荷重に余裕のある金具をお選びください。軽量なものであれば、市販のピン(ダルマピンなど)を2個使用して壁に掛けることができます。ピクチャーレールがある場合は、対応するワイヤーフックをお使いいただくと、壁に穴を開けずに設置可能です。
取り付け方法や壁面の材質によっては、実際の耐荷重がメーカー公表値より低くなる可能性がございます。耐荷重が大きすぎて問題になることはありませんので、数値に余裕のある金具をお使いいただくと安心です。
- アートパネルのメンテナンスや、取り扱い方法について教えてください。
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はい。アートパネルのお手入れや取り扱い方法については、下記のブログ記事で詳しく解説しております。日常の簡単なメンテナンスから、長くご愛用いただくための注意点までまとめておりますので、ぜひご参照ください。
- 海外発送はできますか?
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はい、可能です。EMS(国際スピード郵便)などを利用し、海外へオリジナル和紙製品を発送しております。ただし、宛先国・地域により発送可能サイズや最長辺に上限がございます。規格外サイズの場合は、代替えの配送業者にて対応可能な場合もございますのでご相談ください。海外発送について、詳しくは下記ページをご覧ください。
生活と和紙、その新しい提案
弊社オリジナルの和紙アートを海外へ。「海外発送」のご利用ガイド | 生活と和紙、その新しい提案 弊社オリジナルの和紙アートやインテリア製品を海外へお届けする際の「配送方法」「関税などの目安」「梱包の安全性」について詳しくまとめました。あわせて関税等のシミュ… - お支払方法について教えてください。
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