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石川県金沢市にある和紙専門店「紙あさくら」の公式ブログです。暮らしを彩る様々な和紙インテリアや制作事例などを発信しています。

能登の珪藻土を和紙アートに。新作ミニアートパネルが伝える「土と和紙」の温もり。

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「土と和紙」が織りなす温もり。
弊社オンラインショップ「Washiあさくら」に、能登の珪藻土を使った1点物の新作ミニアートパネルが加わりました。

珪藻土は近年、その優れた調湿性をいかしたバスマットやコースターなどで、皆さんにとっても馴染み深い素材になりました。私たちも、その機能性はもちろん、珪藻土が持つ自然な「質感」や「表情の豊かさ」に、とても魅力を感じています。その素材感を「アート表現」として昇華させたのが、今回の新作です。

手に持った新作の珪藻土和紙ミニアートパネル。15cm角のサイズ感と、背景のコレクションが見える。
目次

なぜ「能登の珪藻土」を使ったのか

私たちが和紙アートに初めて珪藻土を取り入れようと試みたのは、20年以上前の「石川県デザイン展」に出展した時でした。手漉き和紙の世界では既に「土入り和紙」など、素材を漉き込んだ商品がありました。そんな中、紙漉きを行っていない弊社が、紙漉き以外の方法で、表面の表情の豊かさや質感を出せないかと模索し始めたのがきっかけです。その過程で「せっかくなら地元産の原料を使いたい」という想いもあり、能登の珪藻土を使うことに決めたのです。

和紙アートパネルの原料となる、能登産の珪藻土の粉末のクローズアップ写真。
能登の珪藻土

しかし、実際にやってみると、なかなか上手くいきません。最大の問題は、珪藻土が和紙の表面にうまく定着しないことでした。結局そのときは、その課題を解決できないまま、アイデアは長年「頭の片隅で温め続けている」状態が続きました。

そのアイデアに再びスポットライトが当たったのは、2016年。店舗総合見本市「JAPAN SHOP」への出展がきっかけでした。この出展にあたって「新しい和紙表現」として、珪藻土を使った加工技術に改めて向き合い、無事に発表することができたのです。

「JAPAN SHOP 2016」出展時の様子

この成功を機に、私たちは珪藻土を和紙の「加飾(装飾技法)」として積極的に取り入れるようになり、現在に至っています。

土と和紙が響きあう。新作・珪藻土ミニアートパネル(全4種)

珪藻土と和紙が織りなす豊かな質感と、手仕事の温もりをもっと身近に感じてもらいたい。そんな想いから、前回ご好評いただいた15cm角パネルに引き続き、今回も個性豊かな4種類のミニアートパネルをご用意しました。
※すべて、加飾の表情が異なる1点ものとなっておりますので、売り切れの際はご容赦ください。

壁に掛けて単体で飾るのはもちろん、複数並べて印象的なギャラリーウォールをつくるのも素敵です。また、パネルには厚みがあるため、棚やデスクの上に立てかけて飾ることもできます。

  • ギャラリーウォールとは:アート作品を壁にまとめて飾ることです。壁をギャラリーに見立てて、自分好みの作品を自由にレイアウトすることで、個性的な空間を作ることができます。

和紙ミニアートパネル「兆し-kizashi」 Washi Mini Art Panel 150×150

和紙ミニアートパネル「兆し(きざし)」を3点、ギャラリーウォールとして壁に飾った様子。
設置イメージ(サイズ:各 W150×H150×T20mm)

静寂の「黒」と、躍動の「金」。

珪藻土と墨で仕上げた表面に「櫛引(くしびき)」の技法で繊細な凹凸を施し、ざらりとした豊かな手触りと、深い陰影を生み出しています。

和紙ミニアートパネル「兆し(きざし)」の表面。櫛引による黒い凹凸と、金彩の力強い質感のクローズアップ。

その静かなパネルの上を、金彩の描く軌跡としぶきが駆け巡ります。光が当たると、金彩は鮮やかに輝き、櫛引の溝は影を落とす。その強いコントラストが、見る人の視線を引きつけます。

モダンな空間にも、和のしつらえにも映える、力強い存在感を放つミニアートパネルに仕上がりました。

和紙ミニアートパネル「兆し(きざし)」を立てかけた様子。厚さ2cmで自立するのが分かる。

【商品概要:和紙ミニアートパネル「兆し-kizashi」】
サイズ:W150mm×H150mm×T20mm
素材:楮紙、珪藻土、墨、金彩
基材:木製合板、和紙下地貼りあり
本体重量:約176g

和紙ミニアートパネル「玄-gen」 Washi Mini Art Panel 150×150

和紙ミニアートパネル「玄(げん)」を3点、ギャラリーウォールとして壁に飾った様子。
設置イメージ(サイズ:各 W150×H150×T20mm)

奥深く、雄弁な「黒」の世界。

墨と珪藻土で仕上げた深い黒のベース。その中にはうっすらと金が潜み、静かな光を放ちます。

和紙ミニアートパネル「玄(げん)」のテクスチャー。墨と珪藻土のベースに、金彩のしぶきや刷毛目が重なる。

その上に交差するのは、凹凸のあるライン、繊細な金彩の刷毛目、そしてリズミカルなしぶき。それらが幾重にも重なり合い、単純な「黒」では語れない、複雑で奥深い表情を生み出しました。

見る角度によって潜んでいた金が浮かび上がったり、ラインの陰影が際立ったりと、その表情は豊かに変化します。空間に静けさと重厚な存在感を与えるミニアートパネルに仕上がりました。

和紙ミニアートパネル「玄(げん)」を立てかけた様子。厚さ2cmで自立するのが分かる。

【商品概要:和紙ミニアートパネル「玄-gen」】
サイズ:W150mm×H150mm×T20mm
素材:楮紙、珪藻土、墨、金彩
基材:木製合板、和紙下地貼りあり
本体重量:約179g

和紙ミニアートパネル「石景-sekkei」 Washi Mini Art Panel 150×150

和紙ミニアートパネル「石景(せっけい)」を3点、ギャラリーウォールとして壁に飾った様子。
設置イメージ(サイズ:各 W150×H150×T20mm)

いぶし金に描く、石の景色。

ベースは、いぶし金(スモークゴールド)に染めた麻和紙。繊細な繊維が絡み合い、奥深い光沢を放ちます。

和紙ミニアートパネル「石景(せっけい)」のテクスチャー。いぶし金の麻和紙と、珪藻土による立体的な加飾の対比。

そこに加えたのは、珪藻土による立体的な加飾。まるで石やコンクリートのような見た目と、さらっとしたマットな質感が特徴です。

華やかな「金」の背景と、無骨とも言える「石」のようなライン。その強烈なコントラストが、モダンな空間に緊張感と美しさをもたらすミニアートパネルとなりました。

和紙ミニアートパネル「石景(せっけい)」を立てかけた様子。厚さ2cmで自立するのが分かる。

【商品概要:和紙ミニアートパネル「石景-sekkei」】
サイズ:W150mm×H150mm×T20mm
素材:いぶし金麻和紙、珪藻土、墨
基材:木製合板、和紙下地貼りあり
本体重量:約184g

和紙ミニアートパネル「翳-kageri」 Washi Mini Art Panel 150×150

和紙ミニアートパネル「翳(かげり)」を3点、ギャラリーウォールとして壁に飾った様子。
設置イメージ(サイズ:各 W150×H150×T20mm)

墨で織りなす、静かな景色。

珪藻土と墨を使い、この作品ではあえて凹凸を出さずに「色の重なり」と「混ざりあい」を大切にしました。

和紙ミニアートパネル「翳(かげり)」の表面。墨の濃淡と櫛引の技法による、布地のような複雑なテクスチャー。

表面の櫛引(くしびき)の技法によって繊細な線が幾重にも交差し、まるで墨で織り上げた布地のような、複雑なテクスチャーを生み出しています。

淡いグレーから深い黒まで、墨の豊かな濃淡と、手仕事ならではの偶然の混ざりあい。静かでありながらも、見るほどに味わい深い表情が魅力となったミニアートパネルです。

和紙ミニアートパネル「翳(かげり)」を立てかけた様子。厚さ2cmで自立するのが分かる。

【商品概要:和紙ミニアートパネル「翳-kageri」】
サイズ:W150mm×H150mm×T20mm
素材:楮紙、珪藻土、墨
基材:木製合板、和紙下地貼りあり
本体重量:約176g

こだわりは、最後の「仕上げ」にも

下記の写真は、本作品の制作風景です。白無地の和紙で下貼りをおこなったパネルに、加飾和紙を貼り込んでいるところを撮影しました。

下貼りを行うメリットとして、アク止めの効果を再確認できることや、加飾和紙の貼り付きがよくなることが挙げられます。そして、最も重要なのが、淡い色の和紙などを使う場合に、下地が白いと発色がよくなり色が綺麗に見えるという点です。弊社のアートパネルでは、全て下貼りをおこなったうえでパネル貼りをしています。

和紙アートパネルの制作風景。下貼りしたパネルに、定規を当てて加飾和紙を貼る位置を正確に決めている。
和紙アートパネルの制作風景。職人が刷毛を使い、パネルに和紙を丁寧に貼り込んでいる手仕事の様子。

和紙素材それぞれの特性を深く理解し、美しく仕上げる方法を常に研究・観察し、更新していく。そうした姿勢で、私たちは皆様に喜んでいただけるアート作品をお届けしています。

最後に

今回ご紹介した「珪藻土ミニアートパネル」(全4種)は、オンラインショップにてお求めいただけます。

ちなみに、珪藻土和紙の機能性を活かした商品には、和紙製のアンティーク・ローズもございます。こちらの商品については、下記ブログページで詳しくご紹介しております。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

私たち浅倉紙業株式会社は明治30年(1897年)の創業以来、和紙の産地問屋として全国各地の和紙を取り扱ってまいりました。現在では自社工房で制作する染色・創作和紙などを使った、インテリア製品や和紙小物、お客様のご要望に合わせたオリジナル製品の企画提案・製作を行っております。弊社については、下記の記事をご覧ください。

インテリア 和紙アートパネル : よくあるご質問(FAQ)

納期はどれくらいですか?

ご注文の種類によって異なります。

  • オーダーメイド品
    仕様や数量によって変動しますが、制作開始から約2~3週間が目安です。お急ぎの場合や、ご希望のお届け日がある方は、ご注文前にお気軽にご相談ください。可能な限り調整いたします。
  • セミオーダー品
    オンラインショップ「Washiあさくら」のアートパネル加工サービスでは、ショップ内のお好きな和紙をアートパネルに加工してお届けします。納期は制作開始から約1週間です。お急ぎの場合は、ご注文時にお知らせください。
費用はいくら位かかりますか?

お客様のご要望に合わせて、3つのタイプをご用意しております。

  • オーダーメイド品
    サイズやデザインによって価格は異なりますが、1点 50,000円(税抜)を目安にお考えください。費用には「和紙代」「加工代」「パネル代」が含まれますが、別途送料がかかります。(店頭お受け取りの場合は、送料無料です)
  • セミオーダー品
    オンラインショップでご注文が可能です。パネルサイズは長方形(910mm×280mm)(280mm角と600mm×280mm 2枚セット)、角型(280mm×280mm 3枚セット)の3種類からお選びいただけます。ショップ内の和紙と組み合わせていただくと、約16,000円~/点(税抜)で制作できます。一定額以上のご購入で送料無料です。

    壁面アートパネル加工サービスのご案内
  • 完成品
    オンラインショップでご注文が可能です。
    価格は約20,000円~/点(税抜)から取り揃えております。
    一定額以上のご購入で送料無料です。

    完成品アートパネル一覧はこちら
オーダーメイドは、どのような流れで進みますか?

お問い合わせから完成までの、主な流れは以下の通りです。

  1. お問い合わせ
    デザインのご要望、サイズ、ご予算、納期など、どんなことでもお気軽にご相談ください。概算のお見積もりも可能です。
  2. 打ち合わせ・ラフプランのご提案
    設置予定の壁や空間のお写真をお送りいただくと、より具体的なご提案が可能です。お話を伺いながら、デザインの方向性を決めていきます。
    ※ラフプランは、参考デザインのご提案や、大まかな方向性のご提案のみとなります。
  3. 本見積もり・ご入金
    仕様が確定しましたら、正式なお見積もりをお知らせします。
    内容にご納得いただけましたら、ご入金をお願いいたします。
    ※ご入金前の段階でキャンセルとなっても、費用は一切かかりませんのでご安心ください。
  4. 正式デザインのご提案・制作開始
    ご入金確認後、正式なデザインのご提案を行います。
    仕様決定後に制作を進め、途中経過をメール等でお知らせします。
  5. 完成・納品(発送)
    完成後、写真をメールでお送りします。
    ご確認いただいてから梱包し、発送(もしくは店頭お渡し)します。

アフターサービス
末長くお使いいただけるようにサポートいたします。
メンテナンスなどの日頃のお手入れについてご説明・ご案内しております。パネル本体を活かして新しいデザイン和紙の張替や修理なども承っておりますので、何かお困りことがございましたら、お気軽にご相談ください。
※他社の和紙製品については対応しかねますので、予めご了承ください。

自社サイトではシーンイメージや制作事例、ご依頼から納品までの流れを載せています。
※詳しくはこちらをご覧ください。

オーダー前に色合いや紙質などを確認することはできますか?

色合いの確認をご希望されるお客様には、参考写真をメールなどでお送りさせていただきます。また、有料(3,000円~)でご希望の色に染めたサンプルの制作もご用意可能です。紙質については一部和紙となっておりますが、無料サンプルもお送りできます。その他何かご要望がございましたら、お気軽にお知らせください。

アートパネルの飾り方を教えてください。

パネル重量に対して、耐荷重に余裕のある金具をお選びください。 軽量のものでしたら市販のピン(ダルマピン)を2個使用してお飾りいただけます。ピクチャーレールがある場合は、対応するワイヤーフックをお使いいただくと壁に穴をあけずに設置できます。

取付け方法や壁面の強度によっては、実際の耐荷重がメーカー公表の耐荷重より低くなる可能性もございます。耐荷重が大きすぎて問題になることはございませんので、数値に余裕のあるものをお使いいただくと安心です。

アートパネルのメンテナンスや、取り扱い方法について教えてください。

はい。アートパネルのお手入れや取り扱い方法は、下記のブログ記事で詳しく解説しております。日常の簡単なメンテナンスから、長くご愛用いただくための注意点までまとめておりますので、ぜひご参照ください。

海外発送は出来ますか?

はい、可能です。EMS(国際スピード郵便)をはじめとする方法で、海外へオリジナル和紙商品の発送をおこなっております。ただし、宛先国・地域により発送可能サイズや最長辺に上限が御座います。規格外サイズの場合は、代替えの配送業者にて対応可能な場合もございますのでご相談ください。

お支払方法について教えて下さい。

現金支払、銀行振込、クレジットカード決済、コンビニ決済、翌月後払い、PayPal、ドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い、楽天ペイ、PayPay残高、Amazon Payからお選び頂けます。

制作事例を見ることはできますか?

はい、弊社の公式サイト内にある専用ページで一例をご覧になれます。そのほか、当ブログの和紙アートパネルカテゴリーでもご紹介しております。

「 ご質問・お問合せ 」
商品に関するご質問やご相談など、お気軽にお問合せください。
フォームやメール、お電話、ファックスでも受付ております。
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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 久しぶりにコメント差し上げます。
    珪藻土って、消臭効果もありますね。
    20年も年月を費やし、珪藻土と和紙の良さを合わせた素敵な商品になりましたね。
    珪藻土って、ひび割れたりするので、かなりのご苦労があったとお察しいたします。
    マット感がとても良いですね。

    • やよいさん、ありがとうございます。とても嬉しいです!
      「珪藻土 顕微鏡」でネット検索すると、びっくりするような画像が出てきますが、その構造のおかげでおっしゃる通り、消臭効果や湿気も取ってくれます。(残念ながら、今回のアートにその効果はありません)
      珪藻土和紙の商品として、出せるようになってからかなり経ちますが、思い返せばいろいろあったなぁと、本記事を書きながら改めて思い出しました。
      よく間違えられる漆喰とはまた違い、質感も独特なものがあります。

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