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石川県金沢市にある和紙専門店「紙あさくら」の公式ブログです。暮らしを彩る様々な和紙インテリアや制作事例などを発信しています。

五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験にいってきました

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先日、五箇山和紙(富山県)のイベントがあったので行ってきました。
今回楽しみにしていたのは、和紙原料の楮(こうぞ)畑で余分な芽を摘む「芽かき」体験。
その時の写真を交えながらご紹介したいと思います。

目次

楮100%!育てる所から行うこだわりの和紙

五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (4)

庄川を望む1.5ヘクタールの広い畑。
ここは雪晒しを始めとした昔ながらの技法にこだわり、耐久性に優れた和紙を作り続けている「悠久紙」の楮畑です。1.5ヘクタールは、50mプール12個分くらいの広さと言い換えると、その広さにビックリしますね。

和紙産地の多くが県外や海外の原料を使用している中、原料の楮、トロロアオイ(ねり)を自家栽培して和紙を漉いている所は、日本でわずか3件ほど。その中でも悠久紙の楮畑の広さは群を抜いているそうです。化学薬品を一切使わず、手間と愛情を込めて漉かれる悠久紙は、重要無形文化財の修理修復、海外の絵画修復用としても輸出されるなど、高い品質が国内外問わず評価されています。

いよいよ芽かき体験スタート

五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (摘み取り体験中)
五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (楮の葉)

伸びて見えているのが楮の植物です。この時期が一番成長し1ヶ月で約30cm以上伸びるそうです。

楮の葉を見ると、とても面白い形をしていますね。
楮と言っても何種類かあり、葉っぱの形や栽培のし易さ、仕上がりの紙質が異なります。

  • 楮の種類:赤楮(あかそ)、青楮(あおそ)、要楮(かなめ)、手折楮(たおり)、黒構(くろかじ)、高構(たかかじ)などがあります。
五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (摘み取る前)
摘み取る前
五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (摘み取り後)
摘み取り後

写真のような余分な芽が出ているのを摘み取っていきます。
ある程度の大きさまでは手で摘み取る事が出来ます。

五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (太く成長した芽)

これくらい大きく成長してしまった場合は、剪定ハサミを使ってカットしていきます。1.5ヘクタールの広さにある楮すべてに行うのだけでも気が遠くなりますが、摘み取っても新しい芽は2~3日もすれば出てくるようです。

なぜ芽かきをおこなうの?

和紙の原料となる部分は、外皮の下 にある柔らかな内皮(靭皮)。
もし途中で不要な芽が出て成長してしまうと節が出来て、その部分は和紙として使えません。
そのため早めに摘み取る必要があるのです。
また、手入れ行った楮は栄養が行き届き、太くしっかりと育つそうです。

ここで皆さんに質問です。和紙の原料からどれくらいの和紙が出来るでしょうか。
正解は、たったの4~5%。
原料の傷や節が出来てしまった部分などを取り除く「塵取り」をした後の数値です。
だからこそ出来るだけ多くの使える部分を残す為、芽かきは重要な作業の一つなのです。

余談ですが、洋紙に使われている木材パルプの場合は、原料に対して90~95%。純度の高い化学パルプの場合は50%程が残るそうです。強靭な繊維を持ち、耐久性の高い和紙の貴重さが分かります。

その他にも、色んなことから楮を守らなければならない

葉を食べられた楮
横に走る白い線は電気柵の一部
五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (葉を食べられた楮アップ)
近くで見ると葉っぱが全くないのが分かります
  • 雑草:雑草が増えてくると楮は枯れてしまいます。そこで雑草取りも定期的に行う必要があります。
  • 鹿:新芽を食べてしまい、楮が枯れてしまう事もある鹿の被害。電気柵を設けてから被害はゼロになったそうです。
  • 害虫:普段は雑草を食べる害虫が、楮の葉を食べる事があります。そのままにしていると上記写真の様に全て食べつくされてしまうため、必要に応じて専用の薬剤を散布しているそうです。

実際に体験する事で高まる価値観

五箇山和紙の楮(こうぞ)芽かき体験 (カエル)
自然豊かでカエルも多かったです。

普段から和紙に触れていて工程を知っていても、それはごく一部でした。
雑草取り、芽かきなどを何度も行ってようやく和紙の原料になるのを知る事で、1枚の和紙が輝いて見えてきました。

悠久紙をつくる東中江和紙加工生産組合では、2003年頃からインターンシップで学生たちを受け入れて、楮の手入れの場を提供しています。そうやって少しでも日本の和紙に触れる機会を設ける事で「若者に楮100%和紙の魅力と、手作りの価値を伝えていきたい」と宮本 友信さん(組合長)はお話されていました。

今後も同様のイベントが開催予定との事なので、ご興味のある方は参加をご検討されてみてはいかがでしょうか。

「悠久紙」東中江和紙加工生産組合
939-1905 富山県南砺市東中江582
電話:0763-66-2420
※見学は要申込み

これまで伺った悠久紙の見学体験記事

悠久紙(五箇山和紙)の冬の風物詩「雪晒し」の現場見学
五箇山和紙の冬の風物詩「雪晒し」のイベントに参加した際のブログ記事。
薬品を使用せず天然の漂白作用で、白く美しい和紙に仕上げる体験をしてきました。

悠久紙(五箇山和紙)の楮蒸し・楮はぎ見学体験
悠久紙の原料となる地元でとれた楮の原木を蒸して、皮をむく作業を見学体験してきました。
楮を蒸すと、芋を蒸したような香りがするんですよ。

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